【業界研究】広く深く知る不動産業界

【業界研究】広く深く知る不動産業界

今後皆さんが企業を選んでいく際に業界・企業研究は欠かせませんが
まだまだやり方が分からない方は多くいらっしゃると思います。

今回は見ている業界をさらに広げていきたいと思っている方や
すでに不動産業界に興味のある方でも、
不動産業界を広く・深く知ってもらえるきっかけになってもらえればと思います。

不動産業界を広く知る

不動産業界に関してご説明する前に
そもそもビジネスとは何か?からご説明します。

皆さんは「ビジネスとは」と聞かれたら何と答えますか?
ビジネスとは一言で言うとコミュニケーション活動です。
顧客が何らかの問題を解決したい、もしくは何らかの願望を実現したいと思っているとき、
その問題の解決、もしくはその願望の実現に向けて、企業は商品サービスを通して、
自分たちの届けたいメッセージを顧客に伝え、
顧客からの共感を得られるとその対価として代金をいただき、これが売り上げになります。

つまり、ビジネスとは顧客の問題解決あるいは顧客の願望実現に向けて
自らのメッセージを発信することで共感を呼び起こす行為なのです。

なのでビジネスを要素分解すると
—————————————————–
誰に=顧客ターゲット
何を=商品サービス
どのように=商品サービスの提供方法
—————————————————–
に分けられると言えます。
基本的に業界というのはこれらで区分けされたものに過ぎません。
これを不動産業界であてはめると

誰に:実地が必要な住民や企業
何を:時代のニーズに合わせた住宅やオフィス
どのように:土地の開発や価値を高め続ける施策の実施

といえます。上記を踏まえて不動産業界の業種を説明します。
大きく分けると「企画・開発」「営業」「運用」の3つに分けられており、
三井や三菱などの財閥系の会社は子会社に分けて全てを受け持っていることもあります。1つずつ簡単にご説明します。

「企画・開発」

三井不動産や三菱地所などいわゆるデベロッパーと呼ばれる仕事で、
流れとしては「用地取得」「事業企画」「流通」のフローで進めていきます。
まず土地に関する情報から、地権者との交渉を行って用地を取得した後、
どのような建物を建てていくかを時代や街のニーズに合わせて立案し、
設計士と協力しながらデザインを考える工程に移り、建設会社と協力しながら工事を進めます。
また不動産が完成したらそれで終わりではなく、住宅の販売・賃貸やショッピングモールで
店舗の賃貸を行っていくことで収益化しています。

「営業」

上記のように親会社が企画・開発を行った建物をそのまま販売・賃貸することもありますが、
街づくりに関係なく、東急リバブルや三井不動産リアルティなど物件を持っているお客様と契約し、
借家したいお客様に仲介を行いながら手数料で収益を得ていく「不動産仲介」や
個々人のニーズに合わせて住宅を設計・施工する「ハウスメーカー」がここに位置します。

「運用」

東急コミュニティや三菱地所プロパティマネジメントなどに代表されますが、
お客様により一層利用していただく為に土地の価値を「維持し続ける」と同時に「高め続ける」管理が必要です。
入居者の家賃の回収や設備の点検、広告活動など不動産の持ち主に変わって維持管理を受託するお仕事と、
ショッピングモール内のリニューアルの提案やイベント運営など建物の価値を向上させながら収益性を高め、
運営を推進していくプロパティマネジメントと呼ばれるお仕事があります。

不動産業界を深く知る

ここからは広くだけではなく深く会社を理解していく方法をお伝えしていきます。
就活生の方々とお話していると、よく社風を企業選びの軸としているという話を聞きます。
では、社風とは何を指すのでしょうか。
社風とは今この時点での「会社の特色」ではなく「過去の会社としての経験から紡がれたもの」ではないでしょうか。
社風の背景は、有価証券報告書の売上ポートフォリオや歴史から紐解いていくことができます。
今回は就活生が多く見ている「企画・開発」の分野を例に、社風の成り立ちをご説明致します。

■三井不動産

売上高は賃貸(32%)、分譲(31%)、マネジメント(20%)、その他の事業(17%)とオフィスビルや商業施設、
ホテルなど総合的に強みを持つ業界最大手のデベロッパーです。
元々日本橋中心の土地を保有してましたが、丸の内に大きな強みを持っている三菱地所に収益が及ばなかったところから、
ららぽーとや超高層マンションなど誰もやったことがない挑戦を1つ1つ形にしていったことで多角的な分野で収益を得られるようになりました。
そして今でも人の挑戦を重んじる社風は継承されています。

■三菱地所

売上高の56%をコマーシャル不動産事業(オフィスビル事業)が占めているデベロッパーです。
元々丸の内を中心に広く土地を保有していたこともあり、三井不動産と比較をすると、
新規で事業領域を拡大するよりも既存事業で安定的に収益することが求められるため、結果として堅実な社風があります。

■住友不動産

売上高としては不動産賃貸(43%),不動産販売(25%)が多くを占めていて、
マンション供給戸数は首位を誇り、都市部を中心にオフィスビル賃貸、分譲マンション事業に注力しています。
元々大阪が本社で、東京に進出する際に1つ1つ切り開いていく必要があったことから地道で貪欲な社風が今も継承され、
結果としてデベロッパー5社の中でも営業利益率に関してはトップを誇っています。

■東急不動産

売上高としてはマンション管理を中心とした管理事業(39%),都市開発(33%)と安定的な管理事業を行いながら、
渋谷などの田園都市線沿いを中心に事業展開している総合デベロッパーです。
元々東急電鉄の子会社で田園都市線利用者の増加に向けた都市開発の為に東急不動産が設立された背景があり、
田園都市線沿いに強みを持っています。
安定的に収益を得ながら事業展開していることから、堅実性と挑戦心のバランスが良い社風なのが特徴だといえます。

■野村不動産

売上高としては住宅部門が48%で「PROUD」や「オハナ」といったブランドを中心に住宅部門に強みを持っています。
元々住友不動産同様に何も土地を持たない状況から始めたこともあり、財閥系が多くを占めるオフィスではなく、
住宅の領域で展開していった背景があり、泥臭く頑張り続ける体育会系の社風が特徴です。

多種多様な不動産

いかがでしたでしょうか?
不動産と一言で言っても様々な業種が存在をしていて、かつ1つの業種でも深ぼってみると強みにしている場所や
社風、事業領域にも違いがでてくると思います。
広げてみたり、深く知っていくことで自分の好みが分かってくると思うので、不動産業界に限らず
他の業界を分析する際にもぜひ参考にしてみてください。

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