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経営学から学ぶキャリアの磨き方~ランチェスター戦略編~

経営学から学ぶキャリアの磨き方~ランチェスター戦略編~

「変化の激しい時代」「個の力が問われる時代」と様々な時代観が語られていますが、
リンク・アイでは入社する会社に依存するのでなく、自分自身を会社経営に見立て、主体的にキャリア形成を行う考え方を大切にしています。

会社経営で数多ある経営理論を、個人のキャリア形成(アイカンパニーの経営)に活かすことができないか?
という発想で、経営理論をキャリア理論に繋げて解説していきます。

今回は聞いたことがある人も多い、『ランチェスター戦略』を取り上げてみましょう!

 

『ランチェスター戦略』を簡単に解説!

ランチャスター戦略とは弱者と強者には採択すべき戦い方の型が異なることを説明した理論です。
第一次世界大戦中にイギリスのランチェスターが、戦争の中で発見した法則を経営の競争戦略に応用したのが、「ランチェスター戦略」と呼ばれ、世界的に有名な経営理論となりました。

ランチェスター戦略が注目されたのは、潤沢なリソースを持つ「強者」に対して、リソースが限定的な「弱者」が勝利するための考え方が書かれているため、
圧倒的なシェアを誇る大企業に対して、小さな影響力しか持たない中小企業が競争に挑むための戦略として、ビジネスの世界で注目が集まりました。

大企業の真似をして売上、利益を上げたいと考える中小企業に対して、ランチェスター戦略は真っ向から反対します。
圧倒的な戦闘力を誇る大企業と同じ戦略で競争しても、消耗戦の末に敗北することが目に見えているので、
中小企業こそ大企業の模倣でなく、差別化戦略を採択すべきであると説明しています。
(逆に大企業は中小企業が差別化を図ろうと工夫していることをすべて模倣し、力をつける前に芽を摘むミート戦略を推奨しています)

また、差別化戦略を採択する際の三大原則として、
局地戦:相手(顧客)や、提供すること(商品)を絞る
一点集中:全てのリソース(人員、資金、時間)を集中する
接近戦:顧客に近づく(営業、販売)

が有効だと説明されています。

『ランチェスター戦略』をキャリアに活かす!

では次に、先ほどのランチェスター戦略をキャリア戦略に応用させてみましょう。

まずは利害関係者との力関係の把握です。
自分と他者の戦闘力に注目して分析を行います。

おそらくこの記事を読んでくれている多くの人が大学生で、大学活動や就職活動、新社会人としての準備に活かすために読んでくれていると思いますので、
イメージしやすいシーンで解説します。

あなたは学級委員長の選挙に立候補したAさんだとします。
競争相手のBさんは、学内では有名人で多くの協力者がいますが、あなたは転校したばかりで一人も協力者がいません。
また、Bさんはプレゼンテーション能力が高く、選挙戦当日に求められる演説には定評がありますが、あなたは人前で話すことは苦手です。

キャリア形成において戦闘力=できることの数×できることのレベルと分解すると分かりやすいです。

Bさんは協力者を活用し、自分の票数を稼ぐことが可能です。
また、選挙戦当日にあなたよりも魅力的なプレゼンテーションを行い、中間票を獲得することもできるかもしれません。
戦闘力においてはA<Bと分析できます。

Bさんのように有名になるために全校にチラシを配ったり、プレゼンテーションの練習をしたくなる気持ちは分かりますが、
ぐっと堪えて『ランチェスター戦略』に忠実に差別化戦略を考えてみましょう。

続いて差別化戦略を実践することを決意したあなたは、三大原則に立ち返ります。

局地戦の原則に従い、Bさんが学内の全ての学生に共感を得ようとしている中(広域戦)、
転校生という立場を活かして「学校生活にうまく馴染めていない層」を対象に「全員が楽しめる学校生活」を売りに選挙活動を行うことを決めました。

次に一点集中の原則に従い、Bさんが手当たり次第にクラスを回ってチラシを配る中(物量戦)、
放課後に一人で帰宅する学生さんに門で声をかけることにすべての時間を集中しました。

最後に接近戦の原則に従い、Bさんが協力者を活用し広報を行う中(遠隔戦)、
自分自身の言葉で学校生活の理想を語りつづけました。

選挙の結果は分かりませんが、きっとBさんを真似してチラシを大量に配ったり、
苦手なプレゼンテーションを反復練習するよりも良い結果が得られたのではないでしょうか?

選挙の例えで解説をしましたが、これから新社会人になる上でもきっと役に立つ考え方です。
職場に入ると戦闘力(=できることの数×できることのレベル)が圧倒的に高い先輩社員がたくさんいます。
もちろん先輩社員は敵ではありませんが、長い目・広い目で見ればビジネスパーソンとしての競争相手でもあります。
新入社員の時にはできないことの数の方が多く、できることのレベルも低い状態で始まることが多く、
「あれもできない、これもできない」と悩みがちですが、勝負するポイントを絞る勇気も大切かもしれません。

 

分かっていても実践できないあなたへ

最後に、『ランチェスター戦略』は理解したけど、周囲からあらゆることを要望されるので、
なかなか絞ることができない。。。。

と悩むあなたへ、「勝負するポイントを絞る」方法論を3つお伝えします。

①自分をオープンにする
周囲の人はきっとあなたを追い詰めたくて要望の数を増やしている訳ではないはずです。
あなたの抱えているタスクの量が分からなかったり、あなたができること/できないことが分からなかったりと、
適切に絞って要望を出すための情報が足りない状態ではないでしょうか?
自分自身のできること、抱えているタスクを周囲にオープンにしたうえで相談する癖をつけてみてください。

②宣言→実行のサイクルで期待を絞る
周囲から多くの種類の要望を受け、断ることのできず、あれやこれや状態になってしまうこともあります。
そんなときは周囲のメンバーに対して「私は〇〇を注力し、成果を上げます!」と宣言を行うことで、
周囲からの期待を絞り、集中させることができます。
もちろん、期待を作ったからにはしっかり実行し、信頼を積み重ねることも大切です。

③協働者と補完関係を築く
あなたのできないことは、他人のできることかもしれませんし、その逆も然りです。
組織をつくることで弱みやできないことを補い合う関係を築くことができれば、
それぞれが絞りたいポイントに集中でき、足し算の成果を掛け算の成果に変えることができます。
普段から周囲のメンバーのできること/できないことや、絞りたいと考えているポイントを理解する姿勢が大切です。

 

最後に

経営理論というと、とっつきづらいイメージがあるかもしれませんが、
会社も個人も、社会から選び/選ばれるための工夫を行っている点では共通しています。

『ランチェスター戦略』からは、
相対的な弱者が強者に勝るための戦略方針、原則を学ぶことができました。

会社経営における経営学を学び、自分株式会社(アイカンパニー)の経営理論のアップデートに繋げてみてください!

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